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長野電鉄モハ1003号は、戦後すぐの混乱期の輸送を支えるために製造された運輸省規格型電車と呼ばれるもので、現存する2両のうちの1両です。
運輸省規格型電車とは、戦争による製造技術の低下や資材の不足により十分な数の電車が製造できない中で、戦後当時の運輸省が私鉄の車両数の充足を目指し、効率的な生産を行えるように制定した規格に則り製造された電車のことです。規格により、車両の長さ・幅・扉の数・出力等が定められており、各事業者で似たような雰囲気の車両に仕上がっていますが、よく見れば製造会社ごとの個性が残っていました。
当車は、1948(昭和23)年に登場した4両の増備として翌年に製造された車両で、前面が緩くカーブしているところに車体メーカーの特徴が現れています。最後は河東線屋代~須坂間(屋代線)で使用された後、1985(昭和60)年に廃車となり、小布施駅に保存されていましたが、屋代線廃止時に信濃川田駅に移動となりました。その後、解体の直前に運輸省規格型電車保存会にて一部を救出・修復したものです。

 製 造 :  日本車輛製造東京支店
 製造年 : 1949(昭和24)年
製造車両数: 14両

 軌 間 : 1,067mm
電気方式 : 直流1,500V
 自 重 : 36.0t
 定 員 : 120人(座席50人 立席70人)
 全 長 : 17,600mm
 台 車 : 日車製D‐18形
制御装置 : 三菱電機製HL制御器
主電動機 : ウエスチングハウス製WH556-J-6形、75kW×4
制動装置 : SME直通空気ブレーキ、手ブレーキ

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